平和を実現する 小菅 敏夫
今年も平和を考える月である8月を迎えます。敗戦の日から74年になります。戦争を知らない世代が日本でも7割以上になっています。「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と憲法前文で宣言しています。平和を実現することについては、私たちは、それぞれ平和とは何かと言われると、必ずしも一致することは難しいのではないでしょうか。日本では、核兵器が絶対悪であることを世界に向けて広島、長崎の原爆記念日の平和宣言で行われています。核兵器の廃絶、並びに勿論戦争をしないことを毎年世界に向けて呼びかけていることは、平和を求める強い意志です。私たちも、平和を実現する者として生かされているが、その進める道として、どのようにしていけば良いのか。フィリピの信徒への手紙には「あらゆる人知を超える神の平和が、あなた方の心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう」(4・7)とあります。自分たちが自分の力で平和を守っていくのではなく、神の平和が私たちを守ってくださるのです。平和を実現する道が困難でも、また道が遠くとも、神の平和が私たちを守り支えてくださるのです。しかし21世紀に入って平和を実現することが日本においても、困難に見えるのではないでしょうか。それだからこそ私たちはより深くみ言葉に聞き、押し出されて進むことです。キリストにあって神との関係が回復され、真の平和が、この地上にも造り上げられるのです。
マタイによる福音書の「山上の説教」には、「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」と書かれています。抽象的に「平和を願う」「平和を求める」とは書かれていないのです。具体的に、そのおかれている状況の中で、この世界において平和の実現に努める人、実現する人は祝福されるのです。
8月の平和主日を「平和を実現する日」として覚えていたい。