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平和を実現する人々 (2013年1号) 小菅 敏夫

 日本国憲法改訂への動きが激しくなってきている今の状況は、憲法制定以降例がないと思える。とりわけ二〇一二年に従来からの領土問題の顕在化による日中・日韓における外交関係の悪化を通して現れてきた。憲法九条を改訂することは、現行憲法の規定からするとハードルが高い(国会の両院の三分の二以上の賛成で発議や国民投票の過半数の賛成)ので、条文の解釈による実質的な憲法の内容を変更することをしてきた。しかし、外交・安全保障の問題の解決手段として物理的力(武力)を使用する可能性を正当化することが行われてきた。とりわけ集団的自衛権の行使については、現行の憲法九条の解釈でも出来ないこととされてきた。すなわち他国との戦争を直接間接することは出来ないこととされてきた。戦争はしないことを現行憲法は、明確にしているからである。

  二〇一二年において領土問題が中国と韓国との尖閣諸島・竹島の領有権をめぐり紛争になっていることで、政治的課題として取り上げられるようになってきた。軍事力の強化(国防軍としての位置づけ)日米軍事同盟の強化(集団的自衛権行使)等を実現するための憲法九条の改訂、更には、政権交代による、自主憲法の制定も視野に入れた動きが出ていることは、我が国が、戦争が出来る国を目指すことを意図している。憲法九条を守り活かすべき国の義務に反するものであり、私達は、こうした憲法改訂への動きに反対していくことが必要ではないか。

  更に憲法改訂と日中・日韓の領土問題の背景にある課題は、私たちの歴史認識における戦争責任の欠如にもあることを認識する必要である。現行憲法の平和への願いは、人類が自らの利害を求めた侵略戦争に対する責任と反省から恒久の平和を希求したものであることを忘れてはならない。アジア・太平洋戦争による多くの犠牲者への祈りと赦しを求めたものでなければならない。戦争を知らない世代が日本では七割を超える今、日中、日韓の歴史を振り返り、正義と愛の平和の実現に私たちは、努めることが必要である。イエス・キリストの犠牲により私たちに与えられた主にある平和を実現するものとして、そしてこの世界の平和のために共に努力出来るものとしてもちいられることを願う。