報告

第8回韓日基督教共助会修練会 報告と懇談(要旨) 上田英二

冒頭、飯島委員長より今回の韓日基督教共助会修練会開催の経緯の説明があり、続いて森下滋さんのピアノ演奏と裵貞烈(ベチョンヨル)先生の唱歌により韓国、光州事件を記念した愛国歌(抵抗歌)が披露された。この歌は韓国では民主化運動のシンボルとして事あるごとに歌われるとの説明がされた。続いて、石川光顕さんよる聖書朗読、祈りに続き、今回の修練会の韓日交流をもたらした、石川氏と裵先生及びその2人のお子様たちとの出会いと交流についての紹介があった(共助2024年第5号25頁参照)。

最初に、この修練会を韓国側で導いてくださった韓ハンナム南大学の裵貞烈先生よりご自身の紹介を兼ねた全体報告があった。裵先生は日本の大学で平安期の古典日本文学を研究し母校である韓南大学で日本文学、日本語を教えてきた。若い卒業生の日本に対する人気は高く、日本へ頻繁に訪問しているという。日本人もたくさん韓国に来て欲しい。先生は大学2年生の時に光州事件(民主化運動)に遭遇し、大学が閉鎖され、その時に兵役を経験された。その時に大学のありがたさを強く感じたという。韓国でのキリスト教界の現状と日本のクリスチャンとの交流、アメリカ人宣教師達の主導でキリスト教大学である韓南大学が大田(テジョン)市にできた経緯や韓南大学と日本の四国学院大学との盛んな交流、などについて紹介された。先生は韓国の経済成長と民主化には日本の影響があったとの認識のもとに、韓国に尽くした日本人達(その中にはクリスチャン達もいた)を紹介する日韓文化交流史のコースを大学に作られたとの由。今回、韓南大学での共助会の交流を歓迎してくれた大学人がたくさんおられ、大学礼拝に日本の共助会員が参加したことをとても喜んでくれたことを印象深くお話された。

続いて、韓国での修練会に参加したお一人お一人から報告、感想が語られた。角田秀明さんからは、初めての参加で新鮮だったこと、韓国への入国時に大混雑があり、時間がかかってしまい、修練会の開始が大幅に遅れた事を紹介された。韓南大学では通訳のすばらしさとキャンパスの広大さ、元気な学生姿、韓国側からの発題内容、その歓迎ぶりが印象に残った。今回の旅を通じて歴史に関心をもつこと、歴史を知ることの大切さを強く感じたという。

濱田史子さんからは、初めての韓国訪問であったが、日本がかつて韓国に対して犯した過ちにもかかわらず、韓南大学でのあたたかい歓迎ぶりに驚いたという。そこにはイエスを信じる者同士の共通の祈りがあったからではとの思いがあり、そのことでご自身も一歩キリストに近づいた気がするという。韓国に実際に行ってみることで得られた体験の大きさとその事への感謝についてお話があった。

光永豊さんは、海外自体が初めてとのことで、様々な不安はあったが実際に行ってみると現地の親切に安心感が広がり、恵まれた旅となった。歴史を展示する場所を訪ね、改めて韓国の被害の歴史は現地に行かねば見えてこないものが多くあることを認識した。拷問などの生々しい展示の前に、あたりまえの自由を求めて命を失っていった若い人々がいたという事実にやりきれなさを感じた。こうした思いをこれからも共助会を通じてつなげてゆきたいと話された。

石田真一郎さんは韓南大学での礼拝に参加した様子を音声録音で紹介した後、修練会終了後に裵先生のご子息である太郎(テラン)さんの案内で訪問した水原市の提岩(チェアム)教会のことを話された。そこで起きた日本人による現地の教会員虐殺事件を振り返り、その場所を訪問し祈りを捧げることができたことへの感謝を語られた。

朴大信(パクテシン)さんは、先に韓南大学に入り、到着が遅れた日本の参加者達を待っている間、現地の方からあたたかいもてなしを受けた事を紹介してから、ご自身の思いを振り返られた。いままで在日3世として韓日のどちら側にも属することなく、韓日交流に取り残されているような感があったが、今回の修練会ではそのことを理解してくれる韓南大学の皆様のまなざしを感じることができた歓びがあった。相手を理解するためには、愛による受け入れが必要で、それが和解につながるという気づき、そして隣人の発見があったという。

片柳栄一さんは、第1回参加以来の久しぶりの韓日修練会参加であった。関西空港から仁川空港への単独のフライトで、現地で尾崎真理子さんに案内されて合流した経緯を話された。修練会終了後に再度訪問した天安市の独立記念館で、近代に対する別の歴史の見方があること、私たちは自分たちの見方でしか歴史を見ていないこと、に気づかされたことを話された。

私は、5年前の夏期修養会で前回の韓日修練会の報告を聞いて罪の意識に襲われ、今回の修練会への参加では自分がそのことに向き合うことになった。韓国の方は人情が厚く韓南大学では包み込まれるような感覚があった。今回の旅は第一歩であり、これからも韓国の旅を続けて様々な交流を深めたいと話した。

最後に飯島信さんは、人と人との出会いによって和解に至ること、裵貞烈先生との出会いを大切にしたい思いで韓国での共助会入会式に出かけた事、これから共助会の働きを通して、若い人達や在日の方々がその主体となって韓日交流を強めてゆくことの願いと思いを話された。その出会いと交流には韓国だけではなく中国や台湾も含まれる。

まとめとして石川光顕さんから、今後の韓日の交流を深めるために、共助誌の韓国での流布・活用、在日の歴史に関わる川崎歴史ミュージアム(仮称)の設立推進、韓国の3人の先生( 裵(ベ)先生、郭(カク)先生、高(ゴウ)先生)の参画による韓日共助会の発展強化への願いについて語られた。以上   

(日本基督教団 流山教会員)