キリストに由来する一致(2009年12月号)内田 文二

 共助会の交わり、佐伯邦男さん宅でのジャコビニ読書会で、A・E・マクグラス著『キリスト教の将来』を読み終えた。

  著者のマクグラス氏は、現在オクスフォード大学の歴史神学の教授で、多数の神学書、信仰書を出し、エキュメニカルに幅広い読者を持つアングリカンに属する福音主義の神学者である。

  同書の中で「挑戦―未来の諸問題」でエキュメニズムの未来について述べているところに強い関心をもたされた。

  エキュメニカル運動について共助会の李仁夏牧師は、一九六七年から一九八五年まで、日本キリスト教協議会(NCC)の書記、続いて議長として幅広く活動された(共助二〇〇九年二・三月合併号、山口明子氏「NCCでの李仁夏先生」参照)。

  「彼らも一つとなるため」にと、主イエスは十字架の苦難を前にして弟子たちのために真剣なとりなしの祈りを、父なる神に捧げられた(ヨハネ一七章)。エキュメニカルな教会の一致運動はイエスのこの祈りに応答する歩みである。   マクグラス氏は言う。あらゆる宗教運動の例にもれず、キリスト教にも内部分裂がある。東西教会の大分裂、プロテスタントに始まる宗教改革の末、今日では、二万に及ぶ教派があり、もう一度、一つの幸せな大家族に戻ろうというのがエキュメニカル運動である。二十世紀にはエキュメニズムは新しい刺激を受けた。

一、第二次世界大戦の時期に、戦争に加わった国を和解させ、ヨーロッパを再構築し、実現可能な未来を求める大きな試みがあり、同様な運動においてキリスト教徒のなんらかの統一が語られ、進められた。

二、一九七〇年代と一九八〇年代は、西洋文化がますます世俗的になり、キリスト教信仰に敵対的になり、内部グループ同士の敵対を棚上げし、キリスト教の生き残りの問題に専念すべきだと考え始めた。

三、世界で伝統的に、イスラム教の地域だったところにキリスト教が拡張する一方、同時にかなりのイスラム教徒の集団が移民によって西洋に現れ、両者の衝突が懸念されている。

  一九四八年にアムステルダムで世界教会協議会(WCC)の最初の会議が開かれ、画期的出来事が起こった。

  昨年二〇〇八年には南アフリカのヨハネスブルグで世界教会協議会主催の合同教会国際会議が開催され、「キリストに由来する一致」をめざして世界二十カ国より二五の合同教会の代表が集められている。

  共助会では本年四月より飯島信委員長が李仁夏牧師のエキュメニカルな働きを受け継ぐように日本キリスト教協議会の総幹事としてのつとめを受けられている。