表紙絵に添えて 「ザアカイ」 和田健彦

小さな家だったが子供の頃、父の書斎の片隅に雑誌『共助』が積み重ねられていた。その中で7、8年つづいたであろうか、戦後の一時期、共助誌の表紙に西洋のキリスト教名画が飾られていた。時々眺めながら過ごしていた。最近だいぶ古くなったその頃の雑誌を見ていたら、月刊誌『共助』1953年(昭和28年)6月号の編集後記に次のように記されているのを発見した。
「題字は今月号より山本茂男氏に執筆いただいたものを用いました。表紙絵は佐古純一郎氏の御厚意により、毎号キリスト教名画を時代別に載せることになっています。解説とともに、よく鑑賞していただきたいと思います。これを保存すれば、小さなキリスト教美術史ができるようにしたいとの、はじめからの企画であります。読者に、希望の絵がありましたら、お知らせいただければご希望に沿うようにします」とあった。中の文章は難しくて読めなかったが、白黒の表紙絵は心に焼き付いていて、その後の歩みの中でキリスト教信仰に導かれている一助になっていたようだ。
イエスとの出会いによって、新しい歩みを与えられたザアカイの心境を思いながら描かせていただきました。
(日本基督教団 鶴川北教会員)