巻頭言

和解の福音のいのち 木村 葉子

韓日修練会は、第1回より、日本のキリスト者として韓国への真実な謝罪と和解を願って韓国の師友と共に開催されてきた。毎回、「主にある友情」に豊かに応えられ、新しい課題と使命へと導かれてきた。底流には、戦前より、加害のただ中で結ばれた韓日の師友・李英環(イ ヨンファン)医師、洪彰義(ホンチャンイ)医師と和田 正牧師が、戦後1966年に再会できた感激の恵みがあった。同時に和田牧師と澤 正彦神学生が延世(ヨンセ)大学の神学生懇談会で厳しく糾弾された。その時和田牧師は「キリストの十字架によってお許しいただきたい」とひたすらに詫びた。その姿に糾弾の最先鋒だった尹鍾倬(ユンジョンタク)神学生の心に奇しき思いが起こり「日本人を許せなかった私を許してください」と手を差し伸べた。彼の父は教会を閉鎖され、日本警官から暴行を受けて障がい者となった。尹神学生の義憤と苦悩とは計り難い。しかしそれをも超えさせる十字架。ご自分の肉によって敵意を滅ぼされるキリスト。神の力。癒し贖い命を与える十字架のキリストが先立ちておられた。日本の大罪により、現在も並々ならぬ苦難と重荷を強いられている人々と国。そこで韓日が許し許されて共に語り歩むことを何が可能にするのか。主イエスの御顔がある。和解の福音の平和の主。贖い癒し命を与える十字架のキリストが先立ちておられる。


第8回修練会は新しい地、韓国大テジョン田市の韓南(ハンナム)大学で開かれた。石川光顕先生と韓南大学の裵貞烈(ペチョンヨル)先生との出会いに因る。昨年、石川氏、飯島 信牧師、李相勁(イサンキョン)牧師が訪韓し、韓南大学で裵氏の韓国共助会入会式が同僚の祝福のもと行われた。帰国後、三氏は笑顔で第8回韓日修練会準備を始めた。昨年の夏期修養会で裵氏は「信仰・自由・奉仕」をかかげる韓南大学で教える「わたしの歩み」の喜びと感謝を語った。今回、礼拝堂と春浅い大学の中央通りに「第8回韓日基督教共助会修練会歓迎」の横断幕が掲げられ、諸先生の講演や同僚と日本語学科の学生さんとの温かい交流が用意されていた。深く感謝しつつそれは裵ベ 先生への敬愛の成す所と思われた。法学部の高ゴウ 鉄チョル 雄ウン先生の発題。在日コリアンが経験する困難さとアイデンティティに関心を寄せ、訴訟で闘い「人間の尊厳を問う」崔チォエ 昌チャン 華ホア牧師の「人間らしく生きるということは必ず主の摂理に導かれる」という信仰に心をとめ友に導かれて受洗された。「イエス様の十字架を見つつ神様との和解をすること」、「和解の主体はあくまでも主であって人間ではない」と語られた。

弟子たちの足を洗い、「互いに足を洗いあいなさい」と教えられて後、十字架に上られた主イエス。祈りつついのちの教えに従いたい。 

(ひばりが丘北教会牧師)