随想

【感想】新しき出会いを求めて 石川 光顕

「人間の心は自分の道を計画する。主が一歩一歩を備えて下さる。」箴言16章9節

はじめに

共助会が100年を迎え、再出発を意識しての一年であった今回の韓日修練会は、私に新たな地平を切り開いたと思っている。それは、尹 鍾倬(ユンジョンタク)牧師と和田正牧師との〝和解〟の歴史的事実に常に戻ることを通して、新しい〝出会い〟を作って行く歩みである。

韓南大学での出会い

今回ソウルでの修練会を終え、大邱(テグ)の尹 鍾倬先生をお訪ねすることが出来た。先生は入院中であったが、お話しすることが出来嬉しかった。特に尹鍾倬先生と和田正先生の後継者である朴大信伝道師との出会いは、夢を見ているようで涙が出た程に感動した。その後、奥様やお二人の息子さんとの会食も嬉しいひと時であった。

私は、その後ソウルへ向かう途中、大テ 田ジョンで下車し裵 貞烈(ベチョンヨル)先生の出迎えで韓南(ハンナン)大学に行った。2度目の大学訪問で少し懐かしい気がした。今回は大学内のゲストハウスに泊めていただき、朝は広大な敷地を散歩して楽しんだ。

裵先生は、大学の国際交流センター所長という要職にありかなりハードな生活にも拘らず、修練会通訳のため大テ 田ジョン―ソウル間を午前中に往復するという労を取ってくださった。そしてさらに私の訪問を歓迎してくださり、奥様のイ・スキョンさんとも楽しい時を過ごすことができた。

その中で、韓南(ハンナン)大学の日本語学科の一年生に対し、私の自己紹介を含め一時間ばかり話をする機会が与えられ、時々裵(ベ)先生が通訳をする楽しいひと時を過ごした。一人の学生李潤尚(イユンサン)君とその後しばらく学内のベンチで話をしたが、19歳のその青年は今の悩みを語り、自分の将来を真剣に考えていた。そして、これからもメールでやり取りしようと言って別れた。

もう一人の出会い・再会について記したい。修練会の2日目午前中、辛承民(シンスンミン)氏の講演とそれに対する木村葉子氏の応答がなされた。通訳は裵先生だった。その講演・応答が終わったとき裵先生より呼ばれ一人の女性を紹介された。キツネにつままれたようで初めよく理解できなかったが、よく見るとなんとウンニョンさんだった。抱き合うように再会を喜んだ。裵先生が計らって呼んでくださったのである。今彼女はソウルの幼稚園の園長として働いているが、数年前には調布教会の夏期キャンプに来て歌や踊り等で交流をした友である。私たち教師も彼女の所属するソウルの韓栄(ハンニョン)教会

を訪ねたこともあった。それは、今佐倉教会の牧師である金南錫先生(キムナンソク)が調布教会の神学生の時に母教会の青年たちとの交流を計画してくれたからできた。この再会も私に一つの希望を繋いでくれた。教団や教会ではなく、草の根の交流として一人の韓国の友としてつながっていくことが今私にできることであることを改めて知らされた。

日韓関係は今、最悪の状態のように映っている。連日の報道では互いの政府が「正義」を主張して対立しているからである。私たちにとって今一番必要なことは、信頼できる友を一人でも多く作ることと思う。

今回の修練会で出会った一人一人に感謝し、更なる「共助会」との出会いを作って行きたい。「人間の心は自分の道を計画する。主が一歩一歩を備えて下さる。」の御言葉をかみしめて。