松本共助会5月、6月例会報告 報告者 下山田誠子
*5月21日(火)松本中央図書館にて 出席者9名
司会:下山田誠子(当番は朴牧師であったがお休みのため)
詩編17編1~5節を読み祈って始めた。
テキスト『幻の村―哀史・満蒙開拓団―』手塚孝典著 早稲田大学出版部
終章の幻の村は、送り出した河野村村長の胡桃決盛の残した日記と帰国できた開拓団員の証言から。作者手塚氏は20年にわたる丁寧な取材によって語られている。
44年送り出された総㔟95人のうち敗戦により73名が集団自決によって生命(幼子と女性)を落としたこと、残された村長の祖父の日記から孫の伸が現地に赴き丁寧に分析している。長らくタブーであった42歳の若さで自殺した祖父の心中を精神科医の眼と孫のやりきれなくも暖かな眼で検証しようとしている。祖父はどのようにして国策に追従し苦しみながらも国家権力に加担せざるを得なかったのかと。このテーマは今日を生きる私たちも検証しなくてはならない課題ではないかと考えさせられ皆で語り合った。若い母親と幼子の凍土の下からの叫びでもあると思う。
*6月18日(火) 松本中央図書館にて 出席者 9名
ドキュメンタリ映画『大日向村の46年』の鑑賞
古い映像で聞き取りにくいところもあったが、困難の末帰国できた人へのインタビューである。大日向村は分村して半数を満蒙に送り出し、当時の日本社会はモデルとして賞賛した。難民生活を経て、生き残った人は軽井沢の平野を開墾し、大日向軽井沢村を作った。インタビューに応えた婦人はわが子を紐で絞め殺したなど悲惨な状況を語った。広大な土地も見て、後悔していないと語る姿に更なる衝撃を受けた。人間は全体の状況を理解することはできない。それは今日も同じであると思った。