寄稿

若い写真家との出会い 飯島 信

それは、突然のことでした。

8月30日(火)、小高伝道所に、前日知り合ったばかりの小高教会幼稚園卒業生のSさんに伴われて、若い二人が現れ、廃園が決まっている園舎を見学したのです。一人はギター奏者、もう一人は写真家でした。見学後、ギター奏者の橋本旭広さんは、礼拝堂2階の和室をギターの練習に使わせて欲しいこと、もう一人の新藤早代さんは、写真展の会場に園舎の玄関を使わせて欲しいことを申し出られました。橋本さん、新藤さんのお二人は、「南相馬市が芸術家を招き、生活しながら創作活動をしてもらう『アーティスト・イン・レジデンス』事業」(「毎日新聞」2022・9・7付)に選ばれた方々でした。聞けば、共に発表の時が迫っていて、ギターの練習場所や写真展会場を探しておられることが分かりました。

3・11より11年半が経過し、会堂2階も幼稚園玄関もようやく片付けが終わったものの、2階はともかく、玄関は外から再び雑草が忍び込んだり、蜘蛛の巣が張ったりして、私が想像する写真展の会場などに出来るとは思いもよりませんでした。しかし、彼女はこの廃屋に近い玄関こそ写真展会場に相応しいとの考えでした。

9月6日(火)、写真展当日、午後1時から7時までオープンした会場には、帰還した居住者の割合が震災前と比べ未だ3割という小高の街から、次々に見学者が訪れ、50名を数えました。また次の日、オープン時間は3時間でしたが、2日合わせて計66名と当初の予想を上回る大成功でした。小高駅舎でのライブも、満席となり、立見含め50人ほどの観客で盛会に終わりました。

私は、新藤さんに、春夏秋冬の移り行く小高の風景を撮ることを勧めたのですが、滞在費用を準備しなければならないとのことで、それでも冬には訪れたいとのことでした。

小高では、このように次々と人との繋がりが与えられています。この繋がりを大切にして行きたいと思います。

(小高伝道所・浪江伝道所牧師)