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キリストにある希望によって (2014年7号) 木村葉子

安倍政権は、富国強兵「戦争のできる強い国」へと暴走しています。秘密保護法、靖国神社参拝、非核三原則見直しや武器輸出を始めました。また、教育再生と称する、厳罰化、道徳の教科化、政府見解の教科書記載、首長の教育権限を強化した法改定の狙いは、国民意識の統制が明らかです。ついに「集団的自衛権の行使容認」を閣議決定し、憲法九条を「他国の戦争に参戦できる」とする解釈改憲を行いました。これは、戦後、歴代の内閣の「専守防衛」を逸脱し、憲法違反の暴挙といえます。安倍政権の政策は、ある一大保守系団体が掲げる目標を強引に達成するものです。神社本庁や保守系宗教団体、旧軍人、大物政財界文化人が属し、安倍内閣の大半、二八九名もの国会議員、地方議員など、全国三万人が属する「日本会議」は、自衛隊の国防軍化、首相の靖国参拝、憲法改正、南京事件は無かった、慰安婦問題は捏造と主張し、歴史に対する反省を〝自虐〟と卑しめ、新しい歴史教科書をつくる会系教科書の採択を進め宣伝活動をしています。

  八月、関田寛雄牧師はある追悼礼拝で、「平和は正義(共生)なくしては正義であり得ない。正義なき平和は、暴力の支配する沈黙と死の平和だ」「他国の力に依存し、『集団的自衛権』という武力によって抑止力にするのではなく、正しい歴史認識と共に平和外交に徹することこそ、最善の抑止力が生まれる」と、正義とは、共に生きることだと語りました。

  「正義の戦争」という欺瞞を退け相互の寛容と理解、非道を悔い改め、赦しあう、愛の努力がなければ平和な共存はできません。しかし、日本はすでに、武器輸出を行い、米防衛企業を買収し、海外での戦争に関与加速と新聞は伝えています。

わが国が死の商人となって殺してよいのか。キリスト者も「集団的自衛権」行使に必要な幾多の法整備の国会審議の間に、粘り強い抗議と廃棄に声を合わせたいと思います。昨年末、秘密保護法の成立に暗澹たる思いをしていた同時期、マンデラ元南ア大統領死去が報じられました。彼はアパルトヘイト(人種隔離)に反対し、反逆罪で二七年間投獄されたが、ついに、釈放を盾にとって、オランダ改革派の信仰を持つ首相を「アパルトヘイトは不正義だ」と動かし、法律廃棄の交渉を成立させました。葬儀で現大統領が「彼は愛と和解の象徴だった。国を再建するために怒りを克服することを教えてくれた」と語りました。主なる神は、キリスト者に「見張り人」「地の塩、世の光」を求められ、人間の思いを遥かに超えて不思議な御業で勝利を約束しています。この希望によって、主に従い働き、子どもたちへの責任を果たしたいものです。