発題と応答

イスラエル・パレスチナ問題をめぐって(二)高橋 哲哉

【夏期信仰修養会 シンポジウム発題】

次に、ガザです。イスラエルが分離壁を建設して外界から隔離し、アパルトヘイト状態にされて、「天井のない監獄」と言われる苛酷な環境を生き延びてきたガザのパレスチナ人ですが、昨年10月8日以降、「ハマス殲滅(せんめつ)」を掲げるイスラエル軍の情け容赦ない攻撃にさらされ、甚大な被害を受けていることはご存じの通りです。『アル・ジャジーラ』等の報道によれば、本年(=2024年)8月1日時点で、犠牲者はほぼ4万人。そのうち子どもが1万5千人以上。これ以外に行方不明者が1万人以上(死体が瓦礫の下に埋まっているのではないかと想定されています)。けがをした人(重症・軽症)9万人以上。ヨルダン川西岸でも、同じ期間に死者594人以上。このうち子ども144人。けがをした人5300人。人的被害だけではありません。ガザの住宅の60%、商業施設の80%、宗教施設267か所、学校の88%、道路の65%が破壊され、35の病院のうち、部分的にでも機能しているのが16しかない。これは紛れもないジェノサイドだという非難が、世界中で高まっています。ガザのパレスチナ人という集団の全体もしくはその一部を意図的に破壊しようとしている、ジェノサイド禁止条約違反だと。南アフリカ政府が国際司法裁判所ICJに提訴して、ICJはイスラエルに対してジェノサイドを防止するあらゆる措置を取れという暫定措置命令を出し、ジェノサイドかどうかの最終判断のために審理が続いています。こちらは裁判ですので、勧告的意見ではなく、法的拘束力をもつ判決が出るはずです。

ジェノサイドだと断定するためには、ジェノサイドの「意図」があったことを示す証拠が必要です。イスラエル軍がガザ攻撃を開始して以降、その証拠になると言われるイスラエル政府や軍の高官の発言は、枚挙にいとまがありません。最初に世界中に広がったのはヨアブ・ガラント国防相の発言でした。「われわれはガザを完全に封鎖する。電気も食料も水も燃料も、すべて止める。われわれは人間の姿をした動物(human animals)と戦っているのだから、それに見合った行動をする」。私が最も注目したのは、ネタニヤフ首相がテレビで国民に向けて語った言葉です(昨年10月28日)。「私たちの聖書には書いてあります。アマレクがあなた方にしてきたことを思い出しなさい、と」。「アマレク」が何を意味するか、皆さんは先刻ご承知でしょう。この言葉を聞いたイスラエル軍兵士は、ほぼ間違いなく、「イスラエルの敵を殲滅せよ」というメッセージとして受け取るでしょう。「サムエル記上」第15章には、こうあります。「サムエルはサウルに言った。『主はわたしを遣わして、あなたに油を注ぎ、主の民イスラエルの王とされた。今、主が語られる御言葉を聞きなさい。万軍の主はこう言われる。イスラエルがエジプトから上って来る道でアマレクが仕掛けて妨害した行為を、わたしは罰することにした。行け。アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切、滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も、牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない」。イスラエル軍がいまガザでやっていることは、まさにこういうことではないか。

今後、ICJがジェノサイドという判断をくだしてもくださなくても、イスラエル軍がガザで行なっているのが大量殺さつりく戮であり、ガザ地区の破壊であることは言うまでもありません。ナクバに始まった民族浄化、エレツ・イスラエルをユダヤ人の土地へと「浄化」する活動が、ヨルダン川西岸でもガザでも続いていると見ることができます。イスラエル軍の攻撃を避けてガザ北部の人びと、続いて中部の人びとも、南へ南へと追いやられてきましたが、南部も攻撃にさらされて安全な場所はどこにもない状態に追い詰められてしまいました。境界線を越えてエジプト側に追放されるか、ガザにとどまって殺されるか。ナチスの計画した「ユダヤ人問題の最終解決」も、はじめはマダガスカルや東方にユダヤ人を追放しようとした後で、それが困難になって、絶滅作戦に移行したわけです。ナクバは今も続いている。そしてジェノサイドに転化しようとしている。昨年12月、モサド元長官のアヴィ・ディヒター現農業大臣が、こう発言しています。「われわれは今、ガザ・ナクバを展開している。ナクバ2023だ」。加えて、「ガザの民間人に関する政策の選択肢」という文書が重要です。イスラエルの諜報省政策局の文書が、10月7日の直後に流出したものです。今回の戦争でハマスを打倒したらガザ地区をどうするか。3つの選択肢があり、結論は、何と、「民間人をガザからシナイ半島に立ち退かせる」。「追放」がベストだというのです。

こうしたヨルダン川西岸とガザの現状は、ongoing Nakba つまり「ずっと継続してきて今も進行中のナクバ」だと言うほかはありません。イスラエルの極右、シオニスト過激派は、ナクバの最終段階だと考えているかもしれません。追放か絶滅か。いずれにしてもそれは、パレスチナ人という他者の排除です。最もマシな場合でも、二級市民への固定化、制度的差別の永続化です。当然これはrレイシズムacism 人種差別、民族差別と一体です。パ

レスチナ人へのレイシズムはイスラエル社会に深く浸透していますが、現在、この方向に国全体を引っ張っているのは、ネタニヤフ政権の閣僚を務める二人の極右政党党首です。一人は「ユダヤの力」党首のイタマル・ベングヴィール国家治安大臣。彼は昨年5月、イスラエルの戦没兵士追悼記念日に軍人墓地で演説をしました。その演説は、「『殉教者』バルーフ・ゴールドシュタインとメイル・カハネを記念する」というものでした。「バルーフ・ゴールドシュタイン」とは誰でしょうか。職業は医師、アメリカからイスラエルに移住したユダヤ人で、1994年、ヘブロンのマクペラの洞窟(アブラハムとイサクとヤコブ、彼らの妻の墓もある、とされています)の、イスラム教徒が祈りをささげる空間に侵入して、機関銃を乱射してパレスチナ人29人を殺害、125人を負傷させ、そして自分は撲殺されるという大事件を起こした人物です。このゴールドシュタインが師と仰いでいたのがメイル・カハネ。やはりアメリカからイスラエルに移住したユダヤ人で、ユダヤ民族至上主義の人種差別主義者でした。イスラエルでは「カハ党」という極右政党を創設して、「カハニズム」(カハネ主義)は、イスラエルの最も過激な(テロも辞さない)右翼思想になりました。そして、カハネとゴールドシュタインを「殉教者」「英雄」として尊敬しているのがベングヴィールです。もう一人は、さきほど触れましたスモトリッチ財務大臣。彼は昨年3月、パリのユダヤ人の集会で行なったスピーチで、物議をかもす発言をしました。「パレスチナ人などというものは存在しない。歴史も文化もない。通貨も言語もない」などと言ったのです。日本でも記事になりました。

次に、「入植者植民地主義」について。ここまで、「ナクバ」という言葉を手がかりにイスラエルの歴史と現状を見てきましたが、イスラエルのこうした在り方は、「入植者植民地主義」settler colonialism という概念なしには捉えきれないと私は思います。植民地主義 colonialism という言葉で私たちが思い浮かべるのは、まずは日本の朝鮮や台湾に対する植民地支配でしょう。それに対して、入植者植民地主義は同じ植民地主義でも違ったタイプの植民地主義として、1990年代にまず研究者の間で議論されるようになり、今では広く使われるようになった新しい概念です。大雑把に整理してみましょう。植民地主義は一般に「外来者の支配」と言えますが、二つの要素を含んでいます。他者が(1)外国から到来して、(2)支配者になる。(2)がなくて(1)だけでしたら、「移民」「難民」(「観光客」?)などですね。そしてこの(2)支配の形によって二つのタイプが分かれます。「搾取型植民地主義」と「入植者植民地主義」です。搾取型は文字通り、植民地から労働や資源を搾取することを目的としますが、この場合、宗主国と植民地は分かれていて、植民地は宗主国に従属している。他方、入植者型植民地主義では、植民者は先住民の土地を奪って、定住し、先住民に代わって、その土地の支配者になる。先住民に対しては、これを従属させるだけでは足りず、これを排除しようとする。「排除」の仕方にはいろいろあって、典型的には「物理的」排除で、強制移送と、その極みとしての「追放」、アパルトヘイト(集団隔離)、ジェノサイド(集団殺害)など。「非物理的」な排除としては、文化破壊、同化、「吸収」(混血を繰り返してマジョリティに吸収してしまう)。入植者植民地主義では、植民者は宗主国から独立して、新しい国家を立ててその主権者(マジョリティ)になるのが理想になります。

具体例を挙げてみましょう。搾取型としては、イギリスのインド支配、フランスのインドシナ支配、ベルギーのコンゴ支配、オランダの「東インド」支配(インドネシアなど)、そして日本の朝鮮、台湾支配など。入植者植民地主義の典型は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド。これらは頭文字をとって、CANZUS nations(Canada, Australia, New Zealand,United States)と呼ばれます。最初は少数の植民者がヨーロッパからやってきて、先住民の土地を奪って、先住民を絶滅あるいはそれに近いところまで追いつめて、自分たちで建国して支配的なマジョリティになり、残った先住民は二級市民として差別される。この4か国は見事に当てはまりますね。アフリカでは南アフリカ、ラテンアメリカではアルゼンチンが例に挙がります。日本では「満州」支配、そして「北海道」。これらは典型的とは言えないにせよ、入植者植民地主義の例として論じられるようになってきました。そして、イスラエルです。これまで見てきたように、ヨーロッパから来たユダヤ人、シオニストたちが、先住のパレスチナ人たちの土地を奪い、そこに自分たちの国家を立て、民族浄化やジェノサイドまで行なって、パレスチナ人という「他者」を排除し、領土内に残ったパレスチナ人に対しては二級市民として制度的に差別する。典型的な入植者植民地主義だと私は思います。

もちろん、政治的シオニズムという入植者植民地主義が生まれたのは、ヨーロッパやロシアの反ユダヤ主義という人種差別があったからです。シオニストたちはヨーロッパでは反ユダヤ主義の被害者でしたが、パレスチナに来た時から、植民者としてパレスチナ人への加害者になってしまいました。ユダヤ人に対するヨーロッパの罪が、パレスチナ人に対するユダヤ人の罪を生み出しました。この点から見ると、「ユダヤ・キリスト教文明」という装置はじつに都合よく作られています。ヨーロッパ人にとってこの概念は、ユダヤ人に対する罪を隠してくれる、忘れさせてくれる作用があります。ユダヤ人とアメリカ人にとっても好都合です。アメリカ人にとってイスラエルは、入植者植民地主義という自らの「原罪」、先住民ネイティブ・アメリカン迫害という自らの「原罪」を思い出させる存在でもあります。それに対して、「ユダヤ・キリスト教文明」という装置は、先住民の「野蛮」に対するイスラエルとアメリカの「文明」の正当性を保証してくれるように思われるのです。

こうして、「ユダヤ・キリスト教文明」という観念を背景に置いてみると、日頃「人権」や「法の支配」を標榜する欧米が、なぜ、パレスチナ人のジェノサイドと言われるような事態に至っても、イスラエルを支持・支援するのかが理解できるように思われます。ロシアのウクライナ侵略戦争のケースと比べて、ガザの事態で欧米のダブル・スタンダードが明白になったことは確かです。これによって、第二次世界大戦後、国連を中心に発展してきた国際人道法や人権法などの国際規範が信用を失った、崩壊したという言説も登場しています。ただ私は、諦めるのは早い、と思うのです。今回、法的正義の追求という意味では、かつては考えられなかったことが続いています。すでに触れたように、ICJは南アフリカからのイスラエルのジェノサイドを問う提訴を受理し、すぐに軍事行動を止めるように2回も暫定措置命令を出したうえ、審理を続けています。ラテンアメリカのニカラグアが、ドイツのイスラエル支援は国際法違反だとして、同じICJに提訴、条件つきで却下されましたが、ドイツに衝撃を与えました。これらはいずれも、いわゆるグローバル・サウスの国が国連の裁判所に、欧米が支持するイスラエルを訴えて審理されるという前代未聞の出来事です。そして、それ以上にインパクトを与えたのは、今年5月20日、ICC(国際刑事裁判所)のカリム・カーン主任検察官が、ハマスの幹部3人と同時にイスラエルのネタニヤフ首相、ガラント国防相についても、戦争犯罪と人道に対する罪で逮捕状を請求したと発表したことです(ハマスの3人のうち2人はイスラエルによって殺害されてしまいましたが)。ICCはプーチン大統領とロシア人3人に逮捕状を発行していて、欧米はこれを歓迎しましたが、これまで欧米とりわけアメリカが絶対的な後ろ盾になってきたイスラエルの首脳にまで、国際人道法違反で刑事責任追及の手が伸び始めたわけです。アメリカはこれまで、米軍とイスラエル軍の行動が縛られるのを嫌って、ICC設立後、一貫してこれに敵対的でした。トランプ政権の時は特にひどかった。今回も、イスラエルの首脳に容疑をかけないように上院議員12人が、カーン検察官に事実上の脅迫状を送り付けたりしていたのですが、カーン検察官も、現在ICC所長の赤根智子裁判官も、政治的圧力には決して屈しないと言って、ここまで来ています。この件に関して詳しくは、雑誌『世界』8月号の拙稿をご覧ください。

さて、しかし、法的正義の追求は必要だとしても、それが紛争自体の解決、政治的解決の代わりにならないことは確かです。法的正義の追求が短期的には政治的解決の妨げになる、という場合もありえます。では、イスラエル・パレスチナ問題の政治的解決のために、いま何が必要なのか。目標をどこに置くにせよ、本格的な交渉を始めるためには停戦が必要です。仮に停戦が実現して、政治的な交渉が始まるとして、何を目標とすべきでしょうか。いま、各国はこぞって「二国家解決」twostates solution を唱えています。アラブ諸国も、欧米も、日本も、中国も。現在、パレスチナを国家承認している国連加盟国は145か国。今年に入ってスペイン、アイルランド、ノルウェーが承認し、EUの中からさらに増える可能性があります。たしかに、かつてのオスロ合意は破綻したものの、最終目標はイスラエルとパレスチナ国家との共生しかないようにも思われます。ただ、私には疑問があります。パレスチナ国家がどういうものになるのかが問題です。最悪の二国家解決案の例は、トランプ政権が出した案でしょう。「世紀のディール」の触れ込みで、いったい何が出てくるのかと思いきや、唖然とするような案でした。ヨルダン川西岸の入植地はそのままイスラエル領と認める。その代わり、エジプトとの国境に近い砂漠地帯の二か所をパレスチナ側に与える。西岸とヨルダン川の間にイスラエル領を設けて、パレスチナ領を包囲して事実上孤立させる。統一エルサレムをイスラエルの首都にして、パレスチナはエルサレム郊外の寒村を首都にする。パレスチナ国家は非武装として国境線はイスラエルの支配下に置く。つまりパレスチナ国家とは名ばかりで、事実上イスラエルのアパルトヘイト体制にする。これがトランプの案でした。イスラエル側は大歓迎、パレスチナ側やアラブ諸国は猛反発して終わりでした。ここまでひどくなくても、現在考えられているパレスチナ国家は、結局、現在のヨルダン川西岸とガザ地区から構成されるとしても、あるいは、たとえ1947年の国連の分割案に戻ったとしても(エルサレムは国際管理下に置くという合意がなされるとして)、パレスチナはイスラエルよりも小さな分断国家になる他はなく、難民の帰還権の保証はもとより、パレスチナ人への公正が実現されるとは思えないのです。こうも言えるかもしれません。ユダヤ人国家とパレスチナ人国家が、潜在的にか顕在的にか敵意をもったまま軍事的に並び立ったとして、平和的な共存は可能なのか。むしろ、国家間戦争のリスクが残り続けるのではないか。

そこで、いま一部で再認識されているのが「一国家解決」onestate solution の案です。私なりに表現すれば、次のようになるでしょう。シオニストの言うエレツ・イスラエル、パレスチナ人にとっての「歴史的パレスチナ」、これは同じ土地なのだから、一つの国家にして共有すればよい。ユダヤ人もパレスチナ人もその他のエスニック・マイノリティも、イスラム教徒もユダヤ教徒もキリスト教徒もその他の宗教的マイノリティも、等しく平等に市民権を享有する一つの立憲民主主義国家にする。ユダヤ人の移住権もパレスチナ人の帰還権も認める。もちろん首都はエルサレム。問題になるのは、イスラエルのユダヤ人がシオニズムを放棄できるか。パレスチナ人はこれまで加害者であったユダヤ人との共生を受け入れられるか、ということです。ナクバ以来お互いに傷つけあった過去をいかに克服するか、いかにして「和解」するか。これは、ドイツや南アフリカや世界各国の例を参考にしながら、かつ人権を尊重しつつ、時間をかけて、国民的課題としてともに担っていく。こういうことであれば、国連や国際社会は援助を惜しまないのではないか。理想論に過ぎない、あまりに非現実的だと思われるかもしれませんが、実はそうではなく、こちらのほうがむしろ現実的ではないか。というのは、現状は、衆目の見るところ、いわゆる「一国家現実」one state reality になっているからです。つまり、パレスチナ自治区と言っても、ヨルダン川西岸もガザも、現実はイスラエルが事実上「併合」していて、一つの国家のようになっている。この現実から出発して、イスラエルのユダヤ人のみが主権を行使しているこの地域を、ユダヤ人とパレスチナ人、その他のマイノリティの人びとが平等な権利をもつ共通の「郷土」とする方がよいのではないか、ということです。

ちなみに、イスラエルの独立宣言は、エレツ・イスラエルに「ユダヤ人国家」を建設すると謳っているわけですが、次の一節を含んでいます。「イスラエル国はユダヤ人移民および離散民の集合のために開放され、そのすべての住民の利益のために国家の発展を促進し、イスラエルの諸預言者によって予言された自由、正義、および平和に基づき、宗教、人種、あるいは性にかかわらずすべての住民の社会的、政治的諸権利の完全な平等を保証し、すべての宗教の聖地を保護し、国際連合憲章の原則に忠実でありつづける」。「われわれは、この数か月間でわれわれに向けられた虐殺のただ中で、イスラエル国のアラブ住民に対して、平和を維持し、完全かつ対等の市民権および暫定かつ常任機関すべてにおいてしかるべき代表権に基づく国家の建設に参加するよう呼びかける」。このように世界に向けて宣言していたわけですから、ユダヤ民族の純粋な単一民族国家などという幻想は捨てて、いまこれを「イスラエル国」としてではなく、パレスチナ人と共同の国家として実現すればよい、ということです。ユダヤ人とパレスチナ人が共同で一国家解決を目ざしているグループがいくつかあります。私自身は、ジェフ・ハルパー(Jeff Halper)というイスラエルのユダヤ人の思想に共感しているので、彼が参加しているODSC(OneDemocratic State Campaign)というグループに注目しています。ちなみにイラン・パペもこのグループです。(次号に続く)

(東京大学名誉教授)