2019年夏期信仰修養会報告―共助会100周年の重みと参加者の秘めたる熱意 鈴木 孝二
はじめに
梅雨明けと同時にやって来た異常気象の猛暑。7月29日朝1番、妻美恵子と2人新潟を出発。バスと新幹線を乗り継ぎ会場到着。ホテルコンチネンタル府中の2階で昼食タイム。今年も参加を許されたことに感謝が溢れる。係りの皆さんが配置につき受付を済ます。参加者名簿を見て、100周年記念の重み、参加者の熱意を覚える。改めて修養会主題を読む。「基督教共助会、100年の時を刻む―主キリスト・イエスによって示された神の愛から、私たちを引き離すことはできない―」午後2時からの開会を待ち静かに祈る。
1 初日(7月29日)開会礼拝と主題講演
(1)開会礼拝 飯島信委員長 司会 小淵康而氏
「わが罪を負って下さるキリスト・イエスと共に明日の使命を生きる」森明によって開始された共助会100年の歴史。山本茂男、小塩力等先達の名前、中渋谷教会、北白川教会、目白町教会そして井草教会の名が登場する。この時代に責任を持って歩もうとする共助会の役割使命に言及。その時改めてかつての負の問題を問い直すことに触れる。①みくに運動のこと②熱河宣教について③ハンセン病の人たちとの関わり方についてなどである。
*家に帰り最新刊の本を入手し関係する論を読んでいる。『協力と抵抗の内面史―戦時下に生きたキリスト者たちの研究』
(富坂キリスト教センター編2019年6月新教出版社)所収のもの
①大久保正禎「『日本的基督教』への道のり―今泉源吉のあゆみ」
②渡辺祐子「宣教師の見た日本人牧師―『満州国』の基督教界を例として」である。
(2)主題講演 川田殖先生 司会 安積力也氏
「絶望・希望・神の愛」と題して講演。共助会100年の歴史を踏まえて先生の全身全霊を注いでの熱弁、生涯を賭してのものである。「人を見れば失望、自分を見れば絶望、希望はただ神にのみある」との言葉から出発。北海道より東京ICUに入学、そこで恩師神田盾夫先生、ブルンナー博士に出会い人生を一変する。京都大学大学院に進学、北白川教会奥田成孝牧師に会い更に大きく転換する。1つひとつ眼前に浮かぶように語ることよりぐいぐい引き込まれて行く。その後半、配布された資料より森明「霊魂の曲」(抜粋)「涛声に和して」(抜粋)をみんなで読み進む。共助会に連なり生きることは生命がけのことである。生半可な覚悟では駄目だと迫ってくる。私自身の信仰の姿勢が問われ打ちのめされた。忘れ得ぬ主題講演となった。
*その時紹介された原田季夫著『文化と福音』(1960年刊)は是非入手し読みたいものだ。今手元にある『文化対キリスト教の問題』(1966年刊)所収、原田季夫「教育・宣教・奉仕」論文を見ている。
2 自己紹介・交わりの時
夕食後、参加者一同が集まり、角田芳子さん三田町子さんお2人の司会でプログラムが進行した。配布された「自己紹介」一覧表を元に初めて参加された方、今日1日のみで帰る方などより、司会者の心配りで指名、発言となった。共助会の温かい雰囲気が出、最も喜ばしいひとときである。お互いを知り合う時となる。
3 2日目(7月30日)早天礼拝
「シンポジウム」①と②「韓日修練会報告」他
(1)早天礼拝 朴大信(パクテシン)松本東教会牧師 司会 大島長子氏
ガラテヤ書3章26―27節。「神の子として歴史に生きる」。松本東教会牧師として赴任、このたびの韓日修練会に参加しての出会い、交流を語られる。和田正牧師と尹鍾倬(ユンジョンタク)牧師のキリストにあっての和解について再度朴牧師より生き生きと聞く。主イエス・キリストの十字架の福音が早天礼拝にふさわしく、強く迫り来る。夕方の「韓日修練会報告」もよく聞くことができた。今後の祈りの大きな課題でもある。
*かつて及川信牧師より送付いただいた冊子『故和田正牧師記念文集思出の時』を取り出し和田正「ユダヤ人もギリシャ人もなく」尹鍾倬「新しく造られた人」を再読している。
(2)シンポジウム①「フクシマを見つめて―今、なお問われ続けていること」
神戸信行さん、北川恵以子さん、そして栃木アジア学園の荒川朋子さんによる発題実践報告。柏崎刈羽原発のある新潟県に住み、多少の意識を持っている私だが福島の置かれている現実の前に徹底して打ちのめされた。なんとノホホンと日々を生きていることか。福島の人々の苦闘、分断の状況は今後も長く続くのである。まさに私自身の生き方あり方が問われている。広島・長崎・沖縄・福島、日本の重大問題である。
(3)シンポジウム②「今日、そして明日を生きる―若き友たちに聴く」
忙しく仕事もあり、子育て中の人もいる。そのような中、時を割いて4人の方々が語ってくれた。犬飼恵理香さん、碓氷麻里加さん、阿部真希子さん、そして湯田大貴さん。司会は佐久学舎とのつながりもあって旧知の石川光顕さん。これまでの歩み、現在進行形のことごと具体的に語ってくれる。それぞれの人柄がにじみ出て次の世代への希望、確信を持たせてくれた。共に祈りあい、連帯したいものだ。夜のグループ別懇談会もその延長線上にあってとてもよい時となった。もっともっと語り合い重荷を分かち合いたいものだ。
4 3日目(7月31日)早天礼拝 証し―青森、新潟、松本共助会のこと、『共助』DVD活用方法について 他
(1)早天礼拝 土肥研一 目白町教会牧師 司会:小菅敏夫氏ルカ福音書7章36―50節
「愛されたいと望んでおられる恋人」。目白町教会90周年の今年、どうして牧師となるに至ったか、ご自身のことから入り、聖書に肉迫して説教が語られる。毎週の礼拝説教に物足りなさを覚えている私に強く語りかけ「共助会」の存在意義を感じさせた。
(2)「主にある交わりに生かされて」青森、新潟、松本共助会の現状が語られた。
(3)長野高専堀内泰輔先生の献身的奉仕によって完成した
『共助』誌DVD活用法、資料と実践で大きく前進した。歴史的事柄である。
(4)そして3名の方の入会式―内坂先生病院行きで祈る。
最後、佐伯勲牧師による閉会礼拝で終了する。100周年記念修養会にふさわしい修養会であった。鈴木幸江さんを筆頭に関係者の労に深く感謝する。再会を強く祈りつつ。(2019年8月28日記)