佐伯邦男さんを想う 木村一雄
佐伯邦男さんが7月4日、入所しておられた旭川の介護施設で亡くなられたとの報せが蜷川文子さんから届きました。入所後の消息を案じておりましたが、天の父のもとへ凱旋されたことと信じ、主よりの慰めと平安をお祈りしています。
佐伯さんと『共助』誌でお話をお伺いしたことがあります。豊かな発想・果敢な実行力についてお聴きすると「アイディアは全て聖書からもらっている。聖書に全てのことが記されている」とおっしゃった事が心に刻まれています。その事をもっと深くお聞きしたら良かったと大事な忘れ物をした思いが今も残っています。
1989年、私が琴平教会に赴任する前、佐伯さんは全国に先駆けて琴平の隣町善通寺市のゴミ分別回収(家庭ゴミの分別方式、四分別二十三種)、殊にびん類の分別には持ち前の識見とアイディアを発揮され、生きびん、駄びん類〔透明びん、茶色びん、その他の色びん、金属製キャップ類〕と細分化して回収することをアドヴァイス。今日でもその分別方法は高く評価されています。さらに琴平の天領榎井の街づくりにも関心を持たれ、街の人たちと交流をもたれていた姿を思い出します。
琴平教会に三度、足を運んでくださり、1991年11月16日献堂記念講演会「共に成長する人々」、92年11月15日献堂記念・現代教育を考える集い「小さな成功が大きな成功を生む」と題して講演してくださり、95年に「パズルであそぼう!」と教会学校の子どもたちと触れ合い、愉しいひと時をもってくださいました。(当時、東洋ガラスの社長)
この頃、東洋ガラス(現在は東洋佐々木ガラス)ではガラスを素材とする「グラスパズル」をつくろうと、プロジェクトを立ち上げ、会社の一部門、名称「パズルシティ」内で佐伯さんを中心として商品開発を進めていきました。販売期間は佐伯さんが社長時代1988年から7年間。この間に数多くのグラスパズルを世の中に送り出され、その全てが現在、北海道・旭川パズルミュージアムに展示されています。
1972年、東村山の島﨑光正宅で〝独りで読むのが億劫になる本を選んで読む〟というコンセプトで産声を上げた〝ジャコビニ読書会〟。私も琴平に赴く迄加わり、島﨑夫妻塩尻帰郷後、世田谷の佐伯宅にバトンタッチされ、佐伯さんが旭川移住の2013年まで21年間続けられました。読書会の夜の食事の友として〝讃岐うどん〟を送ったことを覚えています。
私が琴平教会を退任した2013年6月に旭川へ移住したばかりの佐伯さんを訪問した事も懐かしい想い出となっています。旭山動物園の「聖書のノアの動物パズル」等、佐伯さんがアイディアを提供して来園の子どもや大人を楽しませていました。実は佐伯さんと先祖が周防国(山口県)岩国で同郷ということもあり親交を頂いておりました。今は天の故郷で主のみもとにあることを信じて。 (淀川キリスト教病院チャプレン)