見えないけれど確かに響く音の波 角田 芳子

2021年12月17日(金)、13時からサントリーホール ブルーローズで「クリスマス・オルゴールコンサート」が開催された。私は、共助会の友である大阪の林 貞子さんのお誘いを受け、ワクワクして参加させていただいた。オルゴールについては、7年くらい前、群馬の「オルゴール館」に立ち寄った際、大きな鉄板のような物をはじくように音が生み出されていることに驚いたことを思い出す。また、「箱根オルゴール館」では、オブジェとして飾っておきたいと思わせる素敵な作品がずらりと展示されていたが、「素敵だな」と思いつつ、素通りをしていた存在であった。

しかし、この度、林 貞子さんの歌文集『木洩れ日』を何度か繰り返し読ませていただいてオルゴールに対する印象がガラッと変わってしまった。特に著書の中で「オルゴールに魅せられて」の項目で、貞子さんが「地の底の深いところから突き抜けてゆくような美しい音というかひびきに、動けなくなるほどでした」と梅田駅近くのオルゴール店で、ディスクオルゴールを聞いた印象を語られている言葉が強烈に残っている。それからオルゴールセラピーへと道が開かれて行くのであるが、私はこ

ちらの分野に非常に興味が湧いてきた。人工的な音が満ちている私たちの身の回りで、自然の風・木々の梵そよぎ・水のせせらぎ・空気の臭い・空の青さや雲の流れ……などに果たしてどれほど感性を向けているだろうか。つまり、神が創造されたものばかりであるが、その延長線上にオルゴールの音色があるというのである。オルゴールの響きは、自然治癒力を高め、脳をはじめ身体のさまざまな部分の血流を良くするという説明を、司会者の方が演奏会の合間に語ってくださった。美しいオルゴールの音色に身を任せながら、心身癒された。人間も自然の一部であることを感じさせられた瞬間でもあった。

思わず、ホールで売られていたスイス製の素敵なベル型オルゴールを買ってしまった。これから、毎日「O Holy Night」の音色に身を浸したい。目に見えない余韻を感じつつ。

(浦和バプテスト教会員)