ナオミとルツ-表紙絵に添えて 和田 健彦
若い頃、お世話になった先生のご自宅に飾られていたミレーの「晩鐘」の絵が、今でも私の脳裏に焼き付いています。この絵は、私に旧約聖書のルツ記の風景を連想させました。地方から上京した私にとって、都会の喧騒の中でホッとできるものであり、また求道する者へ一つの方向を示し、教えを与える絵でもありました。
この農民画家ミレーは、ゴッホが尊敬していた人物であり、ゴッホも「種まく人」などの同じ題材を描いています。私は若い頃、長野県に住んでおり、周囲の風景や畑、農夫や草花を眺めるたびに、ゴッホの風景画のように思いながら、自然の美しさに親しんでいました。
私が美校に入学するために上京した頃、久米あつみ著の『ゴッホ』が新教出版社から出版されました。この本は、共助誌に連載されていたものを、佐古純一郎氏の勧めによって一冊にまとめられて世に出たものです。私にとって読みやすく、またキリスト教の視点からも語られていたため、信仰と芸術がいかにかかわってくるかなど、多くのことを考えさせられ、教えられました。
拙い絵を描き続ける中で、やがて私は「何のために描いているのか」「何を描くべきか」というスランプの時期を長く過ごしましたが、その間、この本を時折読み返したものです。
ゴッホの父親はプロテスタントの牧師であり、オランダではプロテスタントの信者が多いという背景があります。風景や静物、肖像画など、実際に見えるものを多く描く傾向があります。宗教的題材としては、キリストの譬えや教えを描いています。
今回、ミレーとゴッホを思い出し、彼らが持っていた貧しい農民への思い、そして旧約聖書ルツ記に思いを馳せたことが、「ナオミとルツ」へと繋がりました。
アドベントであるこの時期に、改めて、このルツこそがイエス・キリストの誕生に深く関わっていることを思わされています。(12月12日記)
(日本基督教団 鶴川北教会員)
