「忘れ得ぬ人々」を覚え歩む (2014年 3 号) 石川光顕

 共助会の歩みも95年目を迎えました。今年の1日研修会は「忘れ得ぬ人々」を覚えて共有する時として与えられ、30人近い方々の「思い出」が語られました。『基督教共助会九十年―その歩みに想う─』の中で「忘れ得ぬ人々」として名が記されている方々は220人でしたが、会場から二名が追加されました。田中平次郎さん(1982年)と三谷健次さん(2002年)であります。

  当日参加者の最年長八十四歳の内田文二氏は梅澤浩二さん(1993年)について語って下さいました。仕事に就くと教会を離れる人が多い中で、共に実業界にあって主にある友情を育み、支えつつ修養会に参加したそうです。

  この号では5人の方から「忘れ得ぬ人々」について証言を頂きました。今年の『共助』第1号でも編集長・委員長の連名で「忘れ得ぬ人々」の原稿についてのお願いがありました。その中に、「友から福音を知らされた者は、また友へ福音を語り伝えます。キリストにある友情の中で福音に生き死にする歩みこそ、共助会に連なる者たちの生きる道でした。」と書かれています。私たちは、先達の歩みを通して知らされた福音を思い起こして次世代に残していきたいものです。

  「忘れ得ぬ人々」を語ることは、勿論故人の遺徳を偲びあるいは記念碑を建てるためのものではありません。「忘れ得ぬ人」は「神に知られたる人」であります。また「神に生かされた人」でありますから、その人が示して下さった神様をより鮮明に仰ぎ見ることが出来るのです。

 3・11の事実から3年間を経た今、私たちは国家的レベルで混迷の時代を生きています。特に若き友たちの苦悩は計り知れないものがあります。今こそ私たちは、福音に生かされた己の歩みを持つことと同時に、「忘れ得ぬ人々」の歩みに倣って〝我が友〟に仕えていきたいと願っています。

  私自身を振り返って、私の生き方に少なからず影響を与えた人を考えてみました。

①決定的とも言える進むべき方向が変えさせられた人として、「共助会」を紹介して下さった大学時代の橋爪裕司先生が挙げられます。

更に
②その都度祈り合い、支え励まされた人として表弘弥氏と河村博牧師が挙げられましょう。

そして
③〝その一言〟で感動させられた人として松隈敬三牧師が挙げられます。

「赦さるゝ事の少なき者は愛する事も亦少し」(ルカ七・四七《戦前版『共助』第18号1934年八月発行》)なるみ言葉を深く教えて下さいました。

  改めて、共助会に連なるお一人おひとりにとっての「忘れ得ぬ人々」を思い起こして紹介をして頂きたいと強く願っております。