平和をつくり出す原点(2002年9月) 河合 達雄

 いま、朝祷会、朝祷運動がしずかに続けられています。そこでは、北東アジアの平和のため、世界の平和のため、祈りの火が燃え続けています。 早朝、主のみ前に静まり、いっしょに聖書の言葉に聞き、いっしょに祈る。そのあと、食卓をともにして交わりのひとときを持つ。それが朝躊会です。朝のしずけさの中で、カトリックをはじめ、いろいろな教派の信徒、教職が心を合わせて祈る超教派の祈りの運動なのです。1957年1月、大阪ではじまり、いま全国約130か所で朝祷会が開かれています。

  思えば、十五年戟争のさなか、福井二郎、沢崎堅造、和田正ら共助会の先達は命をかけて「熱河宣教」をおこないました。中国の辺地、熱河地方に、剣のかわりに聖書を持って行き、苦しみうめく中国の人たちを主にある友、隣人として、彼等とともに生きようとしたのです。そのいさぎよい志を起こさせ、その多難な伝道をつづけさせたのは、福井先生らの朝の祈り、背後で支えた奥田成孝先生らの朝の祈りでありました。こうした朝の祈りが朝祷会の源流になっています。わたしが参加するようになった朝祷会にいつも福井先生の姿が見られました。朝躊会での祈りの大きな課題は平和です。身近な日本海(東海)が平和の海となり、日本海を囲む韓国、北朝鮮、中国、台湾、ロシアに平和を祈る輪が広がっていく。そういう夢を育てながら、北東アジアに祈りの輪をひろげよう、と祈ってきました。昨年9月11日あの事件が起こり、平和を求める祈りに一段と切実さが加わりました。

 それぞれの朝祷会で、平和のための一斉祈祷が続けられました。

 毎年、全国から朝祷会の祷友が集まって全国大会が開催されます。この5月、松山で開かれた全国大会の課題は、「平和と教会一致」でした。平和への提言がなされ、真の平和とはどういうことなのかが語られ、祈りは最大の力であり、最良の行動であることが確認されました。折しも、国会で「有事法制」法案が上程されていました。朝祷会全国大会として、「有事法制」を容認できないことを意志表示してはしい、という声が出ました。「有事法制」は聖書に貫かれている「平和の福音」に逆らうものだからです。

 平和をつくりだす原点は、聖書に聞き続け、祈り続けることでありましょう。