「東久留米キリスト者九条の会」の働き 岸 亮夫
日本基督教団東久留米教会・石田真一郎牧師より原稿を依頼され、私が「何故だろう」と思案しておりましたが、恐らく 「東久留米キリスト者九条の会」 を17年もやって来たことを評価してくださったことからでしょう。その会は当時も現在もそうですが時の政府が軍事増強と同時にそれをしやすくするために憲法改正をしようと動きを強め始めていた。それらはご存じの安倍晋三氏が主導権を取って実行しはじめていた。憲法改正は保守政権の当初からの目標だった。改正の一番最初の動きは警察予備隊にあります。1950年代に動きがはじまる。その当時は吉田 茂です。自衛隊の前の予備隊があり自衛隊になるまでは僅かな時間でやがて今となっての自衛隊へとなる。その自衛隊を軍隊へと格上げする動きが活発になっている。今、まず最初の予備隊からあの大変な戦争を終えた時間が余りにも短い時間だという事。その背景には朝鮮戦争がある。自衛隊が駆り出さられる直前までだった。米軍と自衛隊との関係が密接になる切っ掛けが生まれたのもこの時からであるし、新たな問題もこの事が切っ掛けです。自衛隊の規模がの拡大化もこれから一層大きくなっていくのです。ここで問題は自衛隊が単に拡大化ばかりが問題ではない。その背後にある自衛隊を評価する傾向が大きくなっている。あの戦争は何だったのか。多くの人々が命を取られた事はなんだったのか。そうした反省点がまったく見られない。むしろ正当化している面があるのだ。この当時はまだ戦争の後始末のころなのに、もう戦争の準備をし始めているのか、という困惑を憶えているのです。
私はその当時はまだ中学生でした。あの戦争の後始末が終わろうかという時期でした。家庭にも苦労があり、いわゆる生活の苦労は子供ながらもわかっていた。そういう時期で国がまた戦争の準備をし始めていることに大変な疑問を感じていた。戦争の苦しさは大きく残っているのに何故だという思いが日に日に強くなっていったことを憶えているので、何処か勉強に気持ちが向かず教師に怒られてばかりいた記憶が残っている。そういう苦しみを少しでも少なくしていかねばならないところが苦しみをまた倍加しようという国の姿勢に大きな疑問を持ち始めていた。対等にあるべき米国と日本の国の姿勢が安保という条約の締結が疑問を強く持ち始めていたのもこの頃からだ。国が占領国アメリカにかなり譲歩しているのは何故だろう。占領国ではないのだが何処か米国に譲歩している姿勢が多くの疑問点である。この疑問点が今にも残っているのが分かる。これは日米の問題点の根本でしょう。僅か10年足らずでという政治に対しての疑問がとても強くなって来ました。日本側からアメリカに対してかなり譲歩したのでしょう。その後のアメリカに対しての低姿勢は目に余るものがあります。今を見ては憤りさえ感じます。これには大きな理由があります。
一つはやはり日米安保条約の決定と実行にあります。これはアメリカが太平洋を支配するために日米の協力が必要だったのです。もう一つは日本の共産主義化を恐れていました。この頃から再軍備の色が濃くなり始めていました。
私はその当時中学生になって間もない頃、戦後の臭いもまだしっかりと残っていた。それにも拘わらずまた戦争の準備をしようとする政府に恐怖を感じました。戦争をすることに躊躇(ためらい)も何もないのだろう。
私たちと政治家の生活感覚にかなりブレがある。国や政府が私たちの生活を顧みず、一段と軍備力の増強を強め重点を置いている。一層生活の苦しさが増している。昔も今もそうだ。生活の苦しさは国の福祉の見方がおかしなところにあるためだと言っても過言ではないだろう。
大切な事を書いていない。我が国は世界で唯一の被爆国だ。にも拘わらず米国との連携を強め国内に原爆を保有している。これは公にはなっていない。保有の箇所は沖縄や国内にある米軍の軍事基地などだ。軍事基地は日本には関係ないのだから。こういう理論がまかり通っているのが不思議ではないだろうか。以上子どもの頃からの回想も含めて思いを書いてみた。
「東久留米キリスト者九条の会」は合意制で、2007年の8月開始です。当時は私を含めて3人でした。当初からこの会は合意制で行うようにしていた。信徒が3人、牧師が3人の6人制です。決め事はすべて6人の合意によって決めて来た。当初から増えたり減ったりの増減は多かったがそれぞれの考えを尊重することが大切だから増減は仕方がない。護憲が主体ですから当然年齢的には高くなってしまう。若年層の増えることを常に思っている。
今まで行ってきた記録を纏めてみた。
◎2010年7月19日 武 祐一郎先生の講演
テーマ「憲法九条と日本の将来」
◎2013年4月29日 鈴木伶子先生
キリスト者平和ネット代表
テーマ Ⅰ 改憲の危機に際して、Ⅱ なぜ今改憲か、Ⅲ 何に頼るか、Ⅳ 世界の主を信じ、真理に立つ、Ⅴ 今私たちが問われること、この世の力に頼るか神の言葉を信じて生きるか
◎2014年4月29日 比企敦子先生
テーマ「アジアの一員として生きる」
◎2015年4月29日 稲 正樹先生
テーマ「平和国家・福祉国家のための国民的行動を求めて」
◎2016年4月29日 山口陽一先生
テーマ「聖書に立つ教会の政治参与の責任」
◎2017年4月29日 朝岡 勝先生
テーマ「いま求められる告白と抵抗」について、みなさんと一緒に考えて
◎2018年4月29日 森島 豊先生
テーマ「人権と憲法の危機」
◎2019年4月29日 光延一郎司祭
テーマ「改憲の危機とカトリックの平和観」
教派を越えたエキュメニカル20年と21年はコロナ感染予防のため中止
◎2022年4月29 日 星出卓也師
テーマ「平和の顔した天皇制」
◎2023年4月29日 大谷博ひろちか愛先生
テーマ「党派を超えて平和のための連帯」
◎2024年4月29日 坪井節子先生
テーマ「子どもの権利保障とは」
キリスト者九条の会がこれまでに学んで来たテキスト
〇預言者アモスと現代 武 祐一郎著
〇絶対的平和主義とキリスト教 同右
〇憲法Ⅰ 遠山 真学塾
〇赤ペンチェック 自民党憲法改正草案 伊藤 真著
〇自民党改正案を読む 横田耕一著
〇改憲をめぐる素朴なQ&A
現在は
〇平和憲法で戦争をさせない 寺井一弘 遠山真著
今年で18年になります。私たちがこうした活動をして一番気になることはマンネリズムです。それに陥らないかを常に気にかけています。私たちは憲法九条がやはり平和憲法の根本なのだと心に焼き付けなければ、この国は80年前に戻ること間違いなしです。沖縄がその例です。人々にその危険性を知って欲しいため活動を続けているのです。日本政府はアメリカの言うことを総て言いなりになっている。例えば首都東京の上空を我が国の航空機が飛ぶことは出来ないのだ。米軍の制空権として取られてしまっている。もう一つ沖縄の面積の70%が米軍基地になっている。他各県に基地があって米軍の領土として私たちは自由には入れない。これらを見るとアメリカの配下にあることを自らえらんでいるのでしょう。大人にならねばいけないでしょう。
以上わたしの見解を書いて来ました。これらの背景には常にへブライ人への手紙12章2節がある。そしてミカ書4章3節とエフェソの信徒への手紙4章3節「平和のきずなで結ばれて、霊による一致を保つように努めなさい。」
(日本基督教団東京新生教会員、東久留米キリスト者 「九条の会」 発起人)