ミャンマー いのちのお米プロジェクト活動報告(1)阿部真希子

2021年10月より始めた、アジア学院の同級生Sさんの働きを支援する募金活動は、この秋で2年目を迎えました。1年間の継続を目標に、できればその前に収束してほしいと日々願って参りましたが、残念ながら未だ民主化への道は見えぬままです。そのような中でも、友人とその仲間が守られ、時折、危険な目に遭いながらも、通信が途絶えることなく、毎月の活動を続けることができたのは、神様のお守りと導き、そして、多くの方の継続的な熱い祈りとお支えのおかげです。この場を借りて、深く感謝申し上げます。

〈一年間の活動の歩み〉

1月から、難民キャンプ外で暮らす避難民のうち、特に困窮している50世帯、258名に対象を絞り、毎月、1世帯当たり3~4、000円の支援を行ってきました。各世帯への支援方法は、現地の友人たちの判断で変化してきましたが、最近では、お米の分配が主です。

4月には、半年を機に、当活動に名前をつけました。毎月のお米代だけでも支えられたら、という思いと、人々が住み慣れた土地に戻り、農業を中心とした本来の生活を営むことのできる日が一日でも早く来ることを願い、「いのちのお米プロジェクト」としました。

5月より、絵の得意な友人の助けを借り、チャリティポストカードを作成、販売しています。各地の親しい友人、恩師のご協力により、51、000円の売上を送金しました(11月現在)。

〈ミャンマーで起きていること〉

クーデター以来、国軍は強制捜査と称して、少数民族の暮らす地域を中心に、陸軍、空軍による武力行使を続けています。友人の報告からは、一村全てが焼き尽くされるなど、徹底的な破壊行為が目立ちます。多くの人が故郷を追われ、近隣の村やジャングル、あるいは隣国のタイやインドに避難しています。難民キャンプが襲撃されたり、戦闘に巻き込まれた非武装の市民が地雷で亡くなったり、強姦の末、殺されたりする痛ましい事件も絶えません。国軍は、民主派の国民統一政府(NUG)や、民間の武装組織、国民防衛隊(PDF)の関係者を血眼になって探しており、支援をした疑いのある者や、SNSなどで国軍を批判する書き込みをした者に対しても、容赦なく逮捕、拷問、虐殺を繰り返しています。各地に厳しい検問所が設けられ、反国軍派への物資の供給を妨げるために主要道路が閉鎖され、一般市民の医療や食料へのアクセスが妨げられています。夏には、経済不安で、通貨価値の暴落による大幅な物価上昇もあり、市民は一日の食事の回数を減らすなど、厳しい生活を強いられています。最近では、焼き討ちで財産を全て失った方や、家族に会うことも許されず、ひたすらに軍の施設で働かされた方が、自ら命を絶ったという報告もあり、今の厳しい状況が長期化し、人々が希望を失ってしまう事を大変憂いています。

〈日本人としての責任〉

無知な私は、ミャンマーを訪れるまで、その歴史について全く知りませんでした。しかしながら、友人の話を聞いたり本を読んだりする中で、国民が、クーデターが起きてからの期間にとどまらず、実に70年以上にわたり、多くの苦難を経験してきたことを知りました。特に、Sさんのような、山間部に暮らす少数民族と国軍との関係は大変複雑で、数年では解決できない難しさがあります。

最も衝撃を受けたのは、国軍と日本軍との関係です。1941年にアウンサン将軍たちによって結成されたビルマ独立義勇軍(国軍の前身)は、中国で、日本軍による厳しい訓練を受けました。民間人を生きたまま焼き殺すなど、国軍の残虐性は耳を疑うほどですが、実は、日本軍がミャンマーや中国、その他のアジア諸国で行ってきた行為そのもので、その性格を色濃く受け継いでいます。戦後77年余り経ち、日本では、その記憶の風化が危惧されるほどです。しかし、アジアの片隅で、未だに人々を苦しめている大日本帝国の亡霊を見る時、日本人としての責任を感じると共に、人間の心にある闇の深さを思います。

日本政府や、現地で事業を行う大企業の、軍事政権に対する姿勢についても、引き続き目を配る必要があります。

2022年9月、ようやく防衛省が、来年以降のミャンマー国軍士官候補生や士官の留学の受け入れ停止を発表しました。実はクーデター以降も、留学生の受け入れは続けられており、過去に自衛隊で訓練を受けた兵士の属する部隊が、非人道的な空爆や市民の虐殺に関与したことも明らかになっています。公安調査庁のホームページには、ミャンマーの少数民族の軍隊が国際テロ組織に指定されており、「国軍と対立する民主派勢力『国民統一政府』及びその軍事部門『国民防衛隊』に潜伏場所や軍事訓練の機会を提供しているとされる。」という説明書きは、日本政府が国軍を正式な政府として認め、擁護していると受け取られても不思議ではありません。安倍元首相の国葬に、ミャンマー駐日大使を招いたことも同様です。

友情から始まった支援ですが、これらの事実に背中を押され、この活動を続けることにより大きな意義を感じています。引き続き、友人たちの安全と活動のために、お祈りとご支援をよろしくお願い致します。

不定期ですが、現地からの報告書を翻訳し、配信しております。希望される方は、以下のアドレスまでメールを頂けますと幸いです。

振込先:ソニー銀行 支店名(店番号):本店営業部 (001) 口座番号:普通 3306902

連絡先:メールjinhee.rose1985 @ gmail.com

携帯電話080-3077-7854  

(浜松バプテスト・キリスト教会員)