あわれみ深い人たち(2015年5号)〜中西 博

今年3月23日(月)から25日(水)まで韓国の済州島で第6回韓日基督教共助会修錬会が持たれた。主題は「主 に在る友情の新たな扉を開く―ただキリストの十字架を仰いで―」であった。5年に1回から3年に1回へ韓日基督教共助会修錬会が持たれるようになって初めてである。済州島は一年前セウォル号が沈没したことでよく覚えている。 あの時日本から海上保安庁の救援隊の受け入れを認めて欲しかったというテレビニュースを記憶している。

私が初めて韓国を訪問したのは1973年の7月で、朴大統領が韓国は民主国家でキリスト教の世界大会が開けると いうPRの元に、多くのクリスチャンが世界からソウルの汝ヨ イド矣島に集まった。その当時は韓国も日本もクリスチャン人 口は3%であったが、韓国では後に30%以上になり、現在20%台と聞く。一方、日本は減少して1%となっている。 1万人の教会員を持つ永楽教会の集会に出席した時に、貧しい人が教会に出席できるように、教会に来れば食べられる と話して、組織立てて多くの働き人が訪問伝道をしている事が語られた。人数では当時汝ヨ イド矣島にある三万人の教会員が 集う純真福音教会が有名であった。

3年前11月の李 明博前大統領の独島(竹島)上陸、天皇謝罪要求が日本人を怒らせ、それ以後日韓関係を悪化させ ている。関係改善を期待した、現朴大統領の外交(安倍首相の韓国語挨拶に対して無視する対応)に、韓国内にも批判が出 ている。また、安倍首相に対しての右傾化も心配されている。そのような状況下で私の周りにいる人達は、今は韓国に 行きたくないという人が多くいる。しかし、このような時こそ、民間交流が続けられる事の意義が見出せるのではない かと思う。また、韓国および日本のクリスチャンの世代交代と引継ぎの重要性を今回、より一層感じた。

今回の交流は日本側の今は亡き和田 正、澤 正彦、李 仁夏、小笠原 亮一各牧師、韓国側の尹 鍾倬牧師、徐 順台姉(韓 国で共助会を紹介する韓国語版『ただキリストの十字架を仰いで―韓国基督教共助会修錬会20年の歩み』を作成して頂いた)の 尽力で持つことが出来た。  「あわれみ深い人たちはさいわいである、彼らはあわれみを受けるであろう」(マタイによる福音書5章7節)。あわれみ 深い人になりたい。そのためにはお互いを信頼するものとなりたい。