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希望の前夜(2007年2・3月号) 佐伯 勲 

 昨秋、共助会京阪神修養会を「平和憲法公布六十年―平和を創り出す者」という主題のもとに持ちました。そして今年、平和憲法施行六十年、日本が敗戦の 反省の中から新しく出発しはじめてから六十年を迎えました。この間、昨年の十二月には教育基本法の「改正」、教育の憲法とも呼ばれた「改正」前の教育基 本法は、天皇制国家主義教育を支えた教育勅語を否定し、個人の尊厳と平和主義を基本理念としてきたものですが、それを簡単に「改正」してしまいました。 原田博充さんは憲法九条について、二〇〇四年の京阪神共助会修養会開会礼拝で「天からもん(天から賜ったもの)」と言っておられましたが、教育基本法 「改正」についても、本当に「天からもん」をどぶに捨てた行為であります。そして自衛隊の海外派兵を本来任務化する防衛省関連法案が成立。あとは「国民 投票法案」を経て、平和憲法「改正」へとはっきりと方向付けられている新しい年です。

 やりきれない、無力感漂う、ため息ばかり、真っ暗な希望もない年なのでしょうか。

  昨年、東京都教育委員会の教職員への国旗・国歌強制は憲法違反である、との東京地裁判決が出ました。わたしたちの仲間の厳しい戦いの中における朗報で ありました。「救いを告げられ、平和を告げられ、恵みの良い知らせを伝え」られた思いでした。

  また“戦後六十年の歩みを全否定するような動きが黒雲のように拡がってきています。そのような暗がりの中でもわたしたちの周囲には慰めと励ましを与えら れる兄弟の歩み出しがあります。”(京都共助会クリスマス会の案内より)一月十五日、共助会会員の川西健登さんが、勤めておられた職を辞し、アフリカ、ウガンダの医療奉仕に旅立ちました。前日十四日(聖日)の朝早く、共に 瓜生山に登り祈りました。「眺望はるかな瓜生山は苦しむ人々、虐げられている人々へ向かう僕の道への献身の祈りが捧げられた山」です。その先輩たちの祈 りが今日も継承されていることに深い喜びと畏れが湧きあがってきました。

 川西さんがわたしたちに残された本『アッシジの光』(詩・絵 葉祥明)の中の言葉です。

「真っ直ぐな道 白く輝くこの道を一人歩みなさい 迷いもためらいも…不安も怖れもない光の道を! …神が行けと仰る所にわたしは行き 神が行えと仰ることをわたしは行う 神が生きよ!と仰る限りわたしは生き 神 のお呼びにいつでも応える すべては神の御心のまま わたしは神にすべてを委ねます」

  ヨハネ福音書一章四・五節「言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。」川西さんは、今、新しい靴を履いて、両の 足でアフリカの大地に立って歩いておられることでしょう。

  今年は、希望の前夜です。