キリスト・イエスにあって一つとなる〜韓国と日本の教会を期待しながら〜李 孝宰

【応答:韓日修練会を通して】

日本キリスト教共助会の皆樣

私は韓国ソウル鍾路区恵化洞にある「맑은물 가온교회」(清泉コミュニティ教会Clearwater Gaon Community Church)を担任している李孝宰と申します。去年の7月に教会を恵化洞に移し、尾崎真理子さんに会い、木村葉子牧師を紹介していただきました。食事をしながら対話中、日本キリスト教共助会の話しを聞いて感動しました。特に最近、何年間の間に韓国と日本との外交関係が悪化し、韓国に対する嫌悪と反日感情が一般市民の中に広まっている状況の中での共助会の役割を思い、私に大きな喜びをもたらして下さいました。

共助会が長い間、規模は小さいけれどもキリスト教の信仰と真理と和解のメッセージを伝え、両国教会間の友好増進のため活動した話は私に大きな恵みを与えてくれました。最近日本で起っている嫌韓感情と韓国で拡散している反日感情は一つも有益なものはありません。次第に高潮した両国間の葛藤は甚だ憂うべきことになりました。キリスト教を信じる人は十字架による神様と人間との和解を経験し、それを証しする務めを持っていますからなおさら注意すべきではありませんか。嫌悪と対決はキリスト者にとっては絶対に容認してはならない悪です。

キリスト者は悪を悪で報いず善をもって悪に勝ち、敵を愛する善良な生活をしなければなりません。「もはや、ユダヤ人もギリシャ人もなく、奴隸も自由人もなく、男も女もない。あなたがたは皆、キリスト・イエスにあって一つだからである。」(ガラ3:28)とあるように、キリスト者は国境を越えて信仰と愛で結びあわされ共に和解することのできる新人類なのです。世の中の人たちは人と人との間、国と国との間に高い垣根を築き、また自分の領域を築き、他人を排斥し自分の勢力を育てようとしています。しかし、キリストは人たちが築いた高い垣根を十字架で崩し、神が創造なさった本来の姿のように一つになさるのです。

キリスト者であれば国籍が韓国であろうと日本、アメリカ、中国であろうと十字架にあって一つになるように努めなければなりません。しかし、韓国のキリスト者たちの中でも反日感情をもって日本に対する敵対心を露わにする姿を見ます。例をあげれば、スポーツ競技の場合実力に関係なく、とにかく勝たなければならないと思うのです。このような敵対心が若い世代まで受け継がれて行けば、両国の未来にも暗い影響を及ぼすようになります。

韓国と日本とのこのような葛藤を解決するためには、歴史的真実に対する共感と和解が必要ではないでしょうか? 今のように歴史的問題に対する見解が極端に対立するならば、和解までは難しいと思われます。従って両国民が歴史の問題から離れてキリストに依る友好関係を結ぶことに努力を傾けなければならないと思います。

私は両国の教会が閉鎖的な関係を解き、平和を定着させるために先頭に立って導かなくてはならないと考えています。キリストの中にあっては韓国人も日本人も同じ神の国の市民である

と言う共通点を持っています。神の国の民はこの世の問題には関わることはありません。神の国の民は現在が重要です。一般的に言えば、過去の問題が解決されなければ現在の問題も解決できないと言いますが、実はその反対です。韓日両国の教会が先頭に立って信仰によって結ばれるならば、葛藤も対立も解決することができると信じます。

金大中前大統領と河野洋平(元副総理・外務大臣)氏との間の友好関係を通して1998年結ばれた韓日関係を思い起こさなくてはなりません(*注)。両国の歴史的真実を認めながら和解し、幅広い市民交流をさせた経験は、両国間の新しい交流問題を解決するようにさせたのです。私はカトリック信徒であった金大中前大統領の深い信仰心が長い間の葛藤をい、除去させたのだと考えます。しかし、政治指導者が変る毎に、再び悪化し歷史的問題を繰り返し問題視させるのです。

十字架の血で建てられた教会は、政治とは関係なく、悔い改めと赦しと和解する友好的関係を守る義務があります。韓日両国の教会が各自の義務を果し世間を導くならば希望に満ちる社会になるのではないでしょうか。

私は日本キリスト教共助会と韓国キリスト教共助会に一つの提案があります。韓日の友好回復に思いのある教会が姉妹関係を結んで相互交流をすることです。特に未来の世代を担う若い人たちのため教会の次元で積極的に推進するのがよいと思います。姉妹関係を結んだ教会は互いに祈りあうでしょう。必要に応じて助け合うようになるでしょう。定期的に訪問する機会を作り交流すればキリスト・イエスにあって一つになる喜びを味わうことができるでしょう。

キリスト教の信仰は一人の霊魂の救いに止まらず、悪の世を善に変化させ、戦争を平和に変える使命を要求しています。

私はバンクーバ・リゼント・カレッジ(Regent College) で神学を学んでいた2003年、世界的名声のある神学者ブルス・ワルトキ(Bruce Waltke) 教授の説教に深い感銘を受けました。アメリカ出身のカナダ市民として暮していた教授がガラテヤ人への手紙3章28節のみ言葉を説教しながら次のような話しをしました。

「この教室には韓国人の学生もいるし、日本人の学生もいます。みなさまがキリスト・イエスにあって一つにならなければキリスト者としての資格がありません。」学校内には少数の韓国人と日本人の学生がいました。歴史的観点に於ては少し違うところもありましたが、私たちの間には何らの問題はありませんでした。互いに友になりました。もち論、キリスト者だといって直ちに友人になるとは言えません。信仰によってお互いに計画的に積極的に持続的に一つになるように努力しなければなりません。韓国の教会は日本の教会を、日本の教会は韓国の教会を互いに胸に抱擁して祈り、慰め、祝福を与える訓練をしなければならないと思います。多くの教会が一斉に参加することはできなくとも部分的にだけでも一致すれば神様に栄光を捧げることができるのです。

私は共助会のメンバーではありませんが、貴会の使命とビジョンには全面的に共感します。今は〝新コロナウイルス〟の禍で往来が自由にできませんが、狀況が好転したら共に礼拝を捧げることができるだろうと希望をもっています。共助会が100年という歴史を積んできた信仰に敬意を表します。

日本のキリスト教共助会に神様の恵みと知恵と力が常にありますように!

またこの道が切れることなく続けられるようにお願い致します。 ( 맑은 물 가온교회 《清泉コミュニティ教会》担任牧師)

【*編集子注】1998年韓国で金大中大統領が、禁止されていた日本大衆文化開放を行った。民間の韓日交流友好が進んだ。1993年河野洋平内閣官房長官(当時)は「河野談話」を発表して、慰安婦関連の日本軍の関与を認め「お詫びと反省」を表明した。以後歴代内閣はこの「談話」を踏襲してきた。